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タンパク質の働きを助けるビタミン・ミネラルの役割、ビタミン発見の歴史などまとめ

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私たちの体には37兆個の細胞があります。細胞の1つ1つが、毎分何百万という新しいタンパク質を作り続けています。
体内ではタンパク質の破壊と建設が繰り返し行われており、それらの作業が円滑に行われることで体内は最高の働きを維持し、健康で若々しく過ごすことが可能になるというわけです。

 

これには、タンパク質を構成しているアミノ酸を体内の要求に従って、バランス良く十分量確保することが必要です。同様に、細胞膜を構成している脂質も十分な量の確保が必要になります。

素晴らしい健康法だ、美容法だ、若返り法だと言ってもこれらがバランス良く供給されなければ健康レベルの低下は免れないわけです。
遺伝子情報に基づいてアミノ酸がタンパク質を作り出し、タンパク質が働いて生命が維持されています。それを補助する役割のものにビタミンやミネラルがあるというのが今回のテーマです。

 

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【治癒力・抗がん力を高めるミネラル】

ミネラルは細胞の分裂や酵素反応に必須だと言われています。そのためミネラル不足が体の治癒力低下を招くことになります。

体に必要な栄養素として、糖質・タンパク質・脂質・・ビタミン・ミネラルを5大栄養素と言います。
普通の食事ができれば、タンパク質や脂質や糖質が欠乏することはありませんが、ビタミンやミネラルは健常人でさえ不足しがちになるのです。

特にがん患者の場合は、食事の摂取が少なくなり、ビタミンやミネラルの不足が目立つようになります。
一般的にはミネラルを摂取しただけではがんを消滅させたりできるわけがないと考えられています。確かにミネラル自身はがん細胞に直接作用することは無いと言われていますが、必須ミネラルが不足していれば体の免疫力向上・抗酸化力向上・再生能力向上など満足に行なうことができないと言われています。つまり、免疫力を高めるためにβグルカンのような免疫増強剤を使用しても、ミネラルが不足していては、免疫細胞を増やすことはできないということになります。

 

 

【ミネラルの働きと役割】

免疫システムそのものを活性化する免疫賦活(増強)剤と呼ばれる薬や健康食品がよく使用されますが、 免疫増強作用をもった薬剤や健康食品をいくら大量に使っても、栄養状態が悪ければ免疫(リンパ球)を十分に作れません。
つまり、ガソリンがあっても、エンジンオイルが無いと車を動かすことができないように、潤滑油の役目をするミネラルが大切だということがわかります。

ミネラルは体に備わった抗酸化酵素の働きを高めるために重要な働きをしています。

少し専門的な話になりますが、スーパーオキシドを過酸化水素に変えるスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)の活性にはマンガン、銅、亜鉛が必要となります。また、過酸化水素を水と酸素に分解するカタラーゼには鉄が、グルタチオン・ペルオキシダーゼにはセレン(金属)が必要です。
セレンの不足はがんの発生と密接に関連していると言われ、セレンに富んだ食事は大腸、直腸、肝臓、乳房、卵巣、前立腺、膀胱、肺、皮膚の癌や白血病のリスクを減少させることがわかっています。

 

全ての細胞・組織・臓器には

★体のキズを治す力(創傷治癒力)
★細胞の働きの大元である遺伝子の異常を絶えず監視しているDNA修復システム
★組織の欠損を補う再生能力

が備わっており、この自己修復・再生システムの働きによって、体の構成成分を一定に、しかも正常な状態に保全することが可能になります。このような自己修復が円滑に行われるためには、必須ミネラルの働きが重要となります。なぜならば、細胞が分裂するためには、細胞内外の酵素反応の多くに必須ミネラルが関わっているからです。

 

さらに体の恒常性を維持する上で必要な神経やホルモンの働きにも、ミネラルは重要な役割を担っています。

※必須ミネラル13種:全て体内で合成できない。

亜鉛・カリウム・カルシウム・クロム・セレン・鉄・銅・ナトリウム・マグネシウム・マンガン・ヨウ素・モリブデン・リン

※ミネラルは人の体重の約5%程度を占める(成人男性で約3.5kg、成人女性で約2.8kg)
内訳→カルシウム1000g・リン500g・鉄3g・ナトリウム100g・カリウム200g・マグネシウム30g・硫黄150g・ 塩素150g

 

1)カルシウム Ca

[機能]血液の凝固、筋肉の収縮、神経興奮の抑制、血圧コントロール
[多く含まれる食品]牛乳、チーズ、ヨーグルト、干しエビ、モロヘイヤ、生揚げ、ケシの実、煮干し、丸干し、わかめ等。各種により吸収量が異なります。牛乳や乳製品は50%、小魚は30%、青菜は18%程度です。クエン酸や柑橘類、またご飯や麺はカルシウムの吸収率を高めると言われています。

[説明]ヒトの体内にはカルシウムが約1kgあると言われています。その99%はリン酸カルシウムと炭酸カルシウムの形で骨や歯の成分として存在し、残り1%は血液や筋肉・神経などの組織の中に存在します。
カルシウムが欠乏すると動悸、息切れ、アレルギー、高血圧、骨粗しょう症、痙攣、イライラ、うつ症状などが発症しやすくなります。また、血液中のカルシウムが不足すると、骨や歯から溶け出して補おうとするため骨や歯が脆くなる傾向にあります。
カルシウムの不足は血管を老化させ動脈硬化や心臓病、脳卒中などを招きます。女性ホルモンとも関係し、閉経後は骨からカルシウムが溶けることを妨げていたホルモンが減少するため、骨粗しょう症につながる恐れも出てきます。

 

2)リン P
[機能]骨と歯の生成、腎臓と心臓の働き補助、神経の伝達、ビタミンB群の吸収
[多く含まれる食品]牛乳、乳製品、卵黄、肉・魚

[説明]リンはヒトの体重の約1%、成人の体内に500g〜800g存在すると言われています。このうち80%がリン酸カルシウムとして骨や歯に使われ、残り20%は腎臓の働き、脳・神経伝達、ビタミンB吸収に使われています。このためリンは関節炎の痛み軽減や腎結石の予防につながるとされています。
リンはリン酸・核酸の成分であり、ビタミンB1・ビタミンB2と結合して補酵素となります。また、糖質代謝を円滑にしてATPなど高エネルギーリン酸化合物も作ります。
リンが欠乏すると、歯茎から血が出たり、骨軟化症、骨粗しょう症、関節炎、食欲不振、だるさ、関節炎になりやすいと言われ、不足すると、ナイアシンの吸収ができないと言われています。摂取量についてはリンとカルシウムの比率が1:1となるのが理想的です。

 

3)マグネシウム Mg
[多く含まれる食品]アーモンド、カシューナッツなどナッツ類、バナナ、ひじき、大豆、ゴマ、玄米ご飯、するめ、はい芽米、そば、豆腐、ほうれん草、小エビ、わかめ、こんぶ、魚介類等

説明]マグネシウムは成人の体内に約30g存在します。主にリン酸マグネシウムとしてカルシウムと共に骨や歯に含まれ、それ以外は筋肉、脳、神経に存在します。特に筋肉にはマグネシウムがカルシウムの5倍含まれています。
マグネシウムが欠乏すると、神経興奮、イライラ、胃弱、人結石、手足のしびれ、震え、痙攣、心臓発作、首や背中の筋肉痛が起こりやすくなります。また、カルシウムの過剰摂取でマグネシウムの吸収が阻害されるとも言われています。牛乳やヨーグルトを多く摂る人はマグネシウムも多めに摂るようにしましょう。

 

4)ナトリウム Na
[機能]細胞の浸透圧、体内水分量の調節、pH調節。

[説明]細胞外体液に多く、体内に約100g含まれています。塩化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウムの形で存在しています。ナトリウムが欠乏すると意識障害、血圧低下、吐き気、頭痛、めまい、筋力低下、極度の疲労、日射病等が起こりやすいとされています。

 

5)カリウム K

[機能]腎臓のナトリウム再吸収抑制、尿内へのナトリウム排泄促進
[多く含まれる食品]キュウリ、ゴーヤ、ズッキーニ、スイカ、メロンなど、するめ、くさや、めかじきなどの魚介類、アーモンドや銀杏などの種実類、ほしひじきやいわのり、あおさなどの藻類。

 

6)塩素 Cl

[機能]pH調節機能、水分平衡、浸透圧維持。
細胞外の陰イオンとして存在する。

 

7)硫黄 S

[機能]パントテン酸(アミノ酸)と結合して補酵素、糖質や脂質代謝に働く。
[多く含まれる食品]魚介類、肉類、卵、牛乳等

[説明]含硫アミノ酸としてタンパク質の中に含まれます。硫黄が欠乏すると、皮膚炎、シミ、爪がもろくなる、髪の毛が抜けるといった症状になりやすくなります。

 

8)亜鉛 Zn

[機能]免疫力と密接に関連するミネラル。亜鉛は300種類もの酵素の働きに必要で、細胞の成長と分裂に重要なカギを握っています。
[多く含まれる食品]牡蠣など貝類、肉類

[説明]亜鉛が不足すると免疫細胞の生産と働きがうまくいかなくなると言われています。

 

 

【ビタミン発見の歴史】

ビタミンの発見は「欠乏症」から始まったと言われています。壊血病、脚気、ペラグラ、悪性貧血、くる病はかつて5大欠乏症と言われました。そのためビタミンの定義も体内で不足するとたちまち欠乏症を引き起こし、健康な生命活動ができなくなる「微量栄養素」とされていました。ビタミンの「ビタ」は生命を意味します。

ビタミンの種類は現在13種類あります。

水溶性:ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、パントテン酸、ナイアシン、ビオチン、葉酸
脂溶性:ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK

ビタミンB群

水溶性のグループ。酵素の触媒の働きを助ける「補酵素」として働いている。体内にいきわたった後で余った分は尿として排泄されるため体内に長時間蓄えておけない。
脂溶性ビタミンは肝臓、細胞膜、リポタンパクなどに存在しある程度蓄積ができる。過剰摂取の危険性がある。ビタミンB群の不足で、神経症・自律神経系、口内炎、ニキビ、美肌に効果があると言われる。外食やインスタントが多いとビタミンB群の不足になる。

 

 

【欠乏症とビタミン】

現在のビタミンの多くは欠乏症から発見されました。

 

a)壊血病

[発見ビタミン名]ビタミンC(アスコルビン酸) *ギリシャ語で壊血病無しの意味
[歴史]
1740年英国大艦隊で蔓延。戦闘死者は4名にも関わらず1955名の乗員の内、生存者は145名だった。それまでの経験的にレモンが良いとされていたが当時の商船には高価であったため海軍より導入が70年遅れたとされる。
1920年壊血病因子を"ビタミンC"と命名
1932年レモンから分離に成功し化学合成でも生成可能となった。

 

b)脚気

[発見ビタミン名]ビタミンB1
[症状]多発性神経炎(昔は江戸患いといわれた)、全身の倦怠感、知覚過敏、心悸亢進、手足のしびれ、歩行障害、心臓肥大、呼吸困難
[歴史]
白米の食事が始まった江戸時代から明治初期にかけて流行した。江戸では地方農民より白米を食していたので脚気が多いとされている(江戸患いとされる所以)
また、日本海軍でも被害が重く、272日間の航海で376名中169名(45%)が脚気となり、25名が死亡した。
1884年海軍軍医が白米野菜中心から動物性脂肪食を導入(これが「海軍カレー」と呼ばれる)
1897年鶏に米ヌカを与えたら改善したことを発見
1910年鈴木梅太郎が米ヌカから脚気予防因子結晶を抽出。"オリザニン"と論文記載する。
1912年ポーランド人フンクが米ヌカのエキスから鳥類の多発性神経炎(白米病)を抽出。この物質が生命に必要なアミンであると報告し"ビタミン(活性アミン)"と命名。
1925年(大正15年)脚気(多発性神経炎)による死者は約3万人といわれる。

 

c)ペラグラ

[発見ビタミン名]ナイアシン
[症状]ナイアシン欠乏症(ニコチン酸)
[歴史]
18世紀にイタリア、南フランス、ポルトガルでペラグラ(イタリア語で「荒れた皮膚」の意味)大流行する。
19世紀にはヨーロッパ全土で多発。
20世紀初頭にはアメリカ南部で20万人が発症し、1万人の死亡者を出す。
トウモロコシを多食する地方で多発した。農民はトウモロコシ粉を主食とし他の食べ物をとらなかった偏った食生活をしていたのが原因とされる。
ナイアシンはタンパク質を含む食品に多く、またトリプトファン(アミノ酸)から体内でも一部合成される。トウモロコシにはナイアシンは多く含まれているがトリプトファンが少ないのでトウモロコシの主食だけではナイアシンを補えないために発症した。
1926年アメリカのゴールドベルガーが"ビタミンPP"と命名した。

 

d)くる病

[発見ビタミン名]ビタミンD
[症状]骨軟化症
[歴史]
17世紀のロンドンの貧民街で大流行し「英国病」とも言われる。
くる病は骨が軟化して柔らかくなり、背中や足が曲がってしまう病気で、原因はカルシウムの吸収や骨の形成に必要なビタミンDの欠乏で起こるもの。
1922年英国の研究者は魚のタラの肝臓から抽出し"ビタミンD"と命名。

ビタミンDは紫外線を浴びると皮膚で合成される。英国では19世紀末の産業革命に伴う大気汚染が紫外線を遮った。

 

e)悪性貧血

[発見ビタミン名]葉酸・ビタミンB12
[歴史]
19世紀初頭病名がつけられた。治療法がわかったのは100年後の1944年、動物のレバーやほうれん草から「葉酸」を抽出したことで発見された。

 

溶性 一般名 発見年 別名 水溶性 耐熱性 耐光性 過剰症
脂溶 ビタミンA 1915 レチノール × × ×
脂溶 ビタミンD 1919 × × ×
脂溶 ビタミンE 1922 トコフェロール

×

×

×

脂溶 ビタミンK 出血性疾患予防因子 × × ×
水溶 ビタミンB1 1911 チアミン、脚気・多発性神経炎 × ×
水溶 ビタミンB2 1926 ビタミンG、リボフラビン × ×
水溶 ビタミンB6 ピリドキサール、ピリドキサミン ×
水溶 ナイアシン ビタミンPP、ペラグラ ×
水溶 パテントン酸 ビタミンB3 × ×
水溶 葉酸 ビタミンM、プテロイルグルタミン酸
粘膜保護・細胞分裂
× ×
水溶 ビタミンB12 1948 コバラミン、悪性貧血 × ×
水溶 ビオチン ビタミンH × ×
水溶 ビタミンC 1919 アスコルビン酸、壊血病予防因子 × × ×

※ビタミン様物質

VP(フラボノイド)、BT(カルニチン)、BX(p-アミノ安息香酸)、BF(多価不飽和脂肪酸)、B4(アミノ酸化合)、B13(オロット酸)、B15(パンガミン酸)

 

 

【身体に必要な5大栄養素:タンパク質、脂肪、糖質、ビタミン、ミネラル】

酵素は生体内の化学反応の触媒の効果を果たしている。

ビタミンとミネラルは酵素の働きを応援する「成長の因子」「命の推進役」

ビタミンとミネラルは細胞の構成材料やエネルギーにはならないが、ヒトの生命活動に必須のもの。

ヒトの様々な代謝活動や神経情報伝達などは全て生体内の化学反応で成り立っている。

ビタミンは有機化合物、ミネラルは無機化合物。

ビタミンはそれぞれに生命活動の維持に必要な「生理作用」とビタミン摂取により体の機能に変化が現れる「薬理作用」がある。

 

1.ビタミンA
[機能]
髪や爪、美肌にはビタミンAは欠かせない、高齢者の皮膚の乾燥にも関与している。バリア機能を持ち、口、鼻、喉、肺、胃などの粘膜を守る。ビタミンA前駆体のβカロテンには抗酸化作用がある。
[多く含まれる食品]レチノールは動物性食品に多く、レバー、卵、牛乳、バター、チーズなど乳製品に含まれる。βカロテンは油に溶けた状態でなければ吸収率は著しく落ちるので、ほうれん草はおひたしよりバター炒めなどが良い。

[別名称]レチノール(別名)、βカロテン(前駆体)
[説明]
ビタミンAは夜盲症(角膜上皮細胞変性、乾燥、腫瘍、失明)から発見されたビタミン(夜盲症は開発途上国の子どもたちの問題となっている)。ビタミンA欠乏症のネズミには上皮細胞がんが発生しやすい傾向があり、特に胃がんにも見られる(国立栄養研藤巻良知)。
ビタミンAは過剰症の恐れがあるためβカロテンとしての摂取が良いとされる。ビタミンAは肝臓に貯蔵されるが、過剰摂取すると肝臓にたどり着くまで吐き気、頭痛、発疹、下痢など様々な毒性をもたらす。動物肝臓にはその動物のビタミンAの9割があり、過剰になることもある。
そのためビタミンAに代わってカルテノイドとしての摂取が良い。動物性食品からは、レチニルエステル(レチノール)として、植物性食品からは、カルテノイドとして摂取される。

カルテノイドは自然界に500種あり、橙色や黄色の色素野菜に含まれる。カルテノイドの内、30種類は体内でレチノイドに変わる。ビタミンAはプロビタミンA(ビタミンAの前駆体)としての活性を持っている。この代表がニンジンに含まれるβカロテン、レチノイドに変化する。

プロビタミンAとしてビタミンAの作用を発揮するカルテノイドはβカロテン・αカロテン・ルテイン・フコキサンチン・クリプチキサンチンがある。

 

2.ビタミンB1
[機能]ビタミンB1は体内では活性型のチアミンピロリン酸(TPP)として作用する。フルスルチアミン(BTMP)など多くのビタミンB1誘導体が合成されてできている。酵素はアミノ酸だけからなるアポ酵素(単純タンパク質)と補酵素が結合して初めて酵素として作用を発揮する。ビタミンB1は細胞が糖質をエネルギーとして治療する際に欠かせない。糖質分解(解糖)が必要な酵素は活性型ビタミンB1のチアミンピロリン酸がなければ働けない。

[多く含まれる食品]穀類(玄米、胚芽米、イモ類)、ごま、ピーナッツなど種子類(アーモンド、大豆、黒豆、落花生、枝豆)、豚肉に多い。ご飯は日本人の主要なビタミンB1摂取源だが、玄米をビタミンB1含有100%とすると胚芽米(胚芽を残した精米)では63%、7部つきでは50%、精白米では19%のビタミンB1含有になる。
レバー、魚介類(うなぎ、カツオなど)、もやし、ソラマメ、パセリ、芽キャベツ、ホウレンソウ、グリンピース、ニンニクなど。水に溶けやすく熱に弱いため野菜は手早く調理する。生が効果的。

[別名]チアミン
[説明]ビタミンB群の中でも欠乏しやすいビタミン。欠乏すると、手足のしびれ、むくみが出てくる、極端に欠乏すると「脚気」による循環器障害が起こりやすい。脚気罹患傾向者は、アルコール多飲、激しい運動習慣、清涼飲料水多飲やインスタント食品から糖質過剰による栄養バランスを崩して、ビタミンB1を含む動物性食品の著しい不足があった。ビタミンB1の不足は脳にエネルギーが行かない、末梢神経を働かせることができない、運動能力低下、足のしびれ、疲労物質蓄積、精神への影響、倦怠感、健忘症、記憶障害、時間空間の見当識喪失等を引き起こす可能性がある。

 

3.ビタミンB2
[機能]糖質、脂質、たんぱく質をエネルギーに変える酵素の補酵素であり、呼吸、赤血球の形成、抗体の生産、正常な発育に必要。特に脂質燃焼の際の補酵素として過酸化脂質(動脈硬化や老化の原因)の生成を抑える細胞の再生を促す。エネルギー代謝を促進し、毛髪、爪、肌を作る。粘膜を保護する働きで、目、舌、唇などの粘膜に良い。蓄積できないので毎日補うこと。牛乳の黄色成分がビタミンB2と同じ成分。
[多く含まれる食品]卵、レバー、うなぎ、牛乳、ヨーグルト、納豆、牛肉、豚肉、干しシイタケ、アーモンド、ドジョウ、小麦胚芽、イワシ丸干し、緑黄色野菜など。光に弱いので牛乳はビンよりもパック入り、しおれた野菜は不可。

[別名]リボフラビン、ラクトフラビン。成長を促進する水溶性ビタミン。

 

4.ビタミンB6
[機能]脂質代謝を促すことで脂肪肝予防、毛髪、皮膚、歯の健康・成長促進、神経の働きを正常にする。不足すると不眠症、神経過敏、神経炎、足のしびれ、こむら返りが起こりやすい。ヒトはタンパク質を分解し、体に必要な形で再合成し、利用しやすいアミノ酸に生成する。その中で一部のアミノ酸の合成をサポートするのがビタミンB6。タンパク質摂取量が多いほどビタミンB6の必要量は増える。
[多く含まれる食品]生ニンニクやピスタチオ、ヒマワリの種子、鶏肉、レバー、カツオ、マグロ、ジャガイモなどのデンプン質を含む野菜、バナナ等。

[別名]リン酸ピリドキサール・ピリドキシン・ピリドキサミン

 

5.パントテン酸(イタリア語で「至る所に」の意味)
[機能]肥満予防、免疫力の向上、美肌の健康維持など。ストレスに対する抵抗力が弱まりイライラや不眠や倦怠感が出てくる。ホルモンの合成に関与。腸内細菌の働きで合成することが可能なので欠乏が少ない。
[多く含まれる食品]肉、マグロなどの魚介類、キノコ、落花生などの豆類、豚レバー、牛レバーなど。

 

6.ナイアシン
[機能]脂質代謝異常や動脈硬化の働きを促進するアセトアルデヒドを分解し二日酔いを防止する。悪玉コレステロールは、血液中ではアポBというタンパク質に包まれて運ばれるが、ニコチン酸アミドの服用でアポBが減る。このため高脂血症や動脈効果改善に効果的とされる。生体内ではナイアシン(ニコチン酸)はトリプトファンから合成されるが、人の場合は腸内細菌常在菌がトリプトファンからのナイアシン合成を行っている。通常の食生活で欠乏症はない。
[多く含まれる食品]カツオ、サバ、ブリ、イワシ、レバー、鶏ささみ、マグロ、シラス干し、たらこ、豆類、コーヒー

[別名]ニコチン酸、ビタミンB3

 

7.葉酸
[機能]葉酸が欠乏すると核酸が合成されず、細胞分裂や成長、DNAの形成が阻害される。不足すると、消化器系の粘膜障害として現れ口内炎、舌炎、胃潰瘍など細胞分裂の盛んなところに必要になる。
[多く含まれる食品]牛レバー、アスパラガス、モロヘイヤ、ほうれん草、キャベツ、レタス、サツマイモ、大豆、緑黄色野菜、果物など

[別名]プテロイルグルタミン酸(PGA)

 

8.ビタミンB12
[機能]赤血球の核酸の合成に必要な葉酸の働きを助ける補酵素。神経細胞の核酸やたんぱく質、脂質の合成を補助し、精神の安定、集中力、記憶力を向上させる。ビタミンB12の不足で、イライラ、無気力、記憶力の低下など、神経との関わりが深い。ホモシステインが脳に蓄積して神経毒性症状が起きる。
[多く含まれる食品]シジミ、鶏肉レバー、さんま、ホタルイカ、赤貝、あん肝、シャコ、スジコ、イワシ、たらこ、身欠きニシン、煮干し、ハマグリ、イワシ、あさり、サバ、他。植物にはほとんど含まれていない(納豆、醤油、味噌などの発酵食品には含む)

[別名]コバラミン

 

9.ビオチン
[機能]糖質のリサイクル、脂肪酸の合成、アミノ酸の代謝にかかわる補酵素。腸内細菌により合成、吸収されているので通常の食生活で問題はない。解糖系、ピルビン酸→オキザロ酢酸→再度ブドウ糖へ再合成される(新生)。不足すると乳酸からの糖新生がスムーズにならないことから筋肉痛や疲労感が起こりやすい。活性酸素を抑えるビタミンC、ビタミンE、ベータカロテンと共にアトピー性皮膚炎の治療に使われる。卵白障害を起こす「アビジン」は腸内でビオチンと結合して高分子となるため、腸管でのビオチン吸収が妨げられ、ビオチン不足になる。ただし加熱するとアビジンとの結合から離れる。
[多く含まれる食品]酵母、レバー、豆類、卵黄

 

10.ビタミンC
[機能]壊血病、肌の美容、貧血や風邪の改善、がんの予防、アスコルビン酸はヒト体内では合成されない。ビタミンCはコラーゲンの生成と大きく関わっている。コラーゲンは体のタンパク質の30%をしめ筋肉の柔軟性を担う。細胞と細胞をくっつける役目。ビタミンC欠乏があるとコラーゲン生成がうまくいかない、細胞の結合が弱くなり骨が弱くなる。コラーゲンによる細胞の接着がうまくいった場合にはウイルスの侵入を防御し、ガードが固くなり、肌のツヤ、シミそばかすの原因となるメラニン色素の生成を抑える。活性酸素を速やかに消去し、ビタミンEと共同して体の老化やガン予防などの生活習慣病を予防する。腸管での鉄の吸収を高める。
[多く含まれる食品]レモン、オレンジ、グレープフルーツ、アセロラ、キウイ、トマト、パパイヤ、ブロッコリー、芽キャベツ、イチゴ、カリフラワー

[別名]アスコルビン酸

 

11.ビタミンD
[機能]体内でカルシウムの吸収を助け、血中カルシウムを骨まで運ぶ「運搬助っ人役」。ビタミンDはさらに骨からCaを取出し筋肉に送り届ける。カルシウムの99%は骨に、筋肉中には1%ある。筋肉中のカルシウムは筋肉を収縮する働きがある。ビタミンDは腎臓でのカルシウムの再吸収を促進して、腎臓からの排泄を抑制し、カルシウムの減少を調整する役割。ビタミンDはコレステロールから人の体内でも合成される。ビタミンDといえば一般に「D2」か「D3」を指している。
脂溶性のビタミンDはビタミンD2(エルゴカルシフェロール、植物に多い)、ビタミンD3(コレカルシフェロール 動物に多い)

  • ビタミンDが過剰になると血中カルシウム濃度が高くなり、血管壁、心筋、肺、胃などに多量のカルシウムが沈着し腎臓が障害されると尿毒症を起こす。

ビタミンDと日光浴:紫外線にあたると皮膚で合成されビタミンDの前駆体の濃度が20分から120分で平衡に達しそれ以上ではビタミンDが生成しなくなる。日光浴をしたからといってビタミンDの毒性が認められるというわけではない。
[多く含まれる食品]しらす干し、焼紅鮭、イワシ(缶詰)、焼きさんま、鯖水煮缶など加工している食品に多い。

 

12.ビタミンE
[機能]血液をサラサラにして若さを保つ。頭痛、冷え性、更年期障害、不妊症、老化などを防ぐ働き。

生体膜の油に溶けて存在し、膜を参加から守る働き。市販のサラダ油には「酸化防止剤」としてビタミンEが添加されている。ビタミンEは酸化や過酸化脂質への変化を抑え減速する抗酸化作用を担っている。

  • 細胞を形作る細胞膜や細胞の中の微少細菅を包む膜などをまとめて「生体膜」という。

欠乏すると赤血球の膜が弱くなり溶血性貧血を発症する。

[多く含まれる食品]植物油やナッツ類が多い

[別名]αトコフェロール

 

13.ビタミンK

[機能]出血時の凝固作用を助け、骨を保護する。妊婦、抗生物質を服用する人、骨粗しょう症の予防に良い。骨に含まれるコラーゲンまたはオステオカルシンなどビタミンKが合成にかかわっている。オステオカルシンはカルシウムの骨への沈着を促進し骨を丈夫に保っている。欠乏すると 血が止まりにくくなる、骨粗しょう症になる、胃の粘膜が弱る、大腸炎、下痢など消化器官に影響が出る。
過剰だと吐き気や嘔吐、呼吸困難、発疹が出る、胃腸障害が起こる

[多く含まれる食品]海苔、納豆、緑茶、しそ、わかめ、モロヘイヤ、春菊、大根、ニラ、ほうれん草、大豆油、水菜、油揚げ、さやいんげんなど

 

14.ビタミン様作用物質
ビタミンと同様の生理作用があり体内でも合成される13種類の物質。働きは同じだがビタミンの定義に当てはまらない物質を言う。意義は、健康増進と病気予防の薬理作用を持つ。

a)コエンザイムQ(ユビキノン)
ミトコンドリアでエネルギー産生に働く。ユビキノンは「至る所にある」という意味で微生物から高等生物まであらゆる生物が普遍的に持っている物質だから、通常の食事で十分摂取できる。また体内でも合成される。
脂溶性、細胞膜に存在し抗酸化作用があり、ビタミンEを節約する効果がある。

b)α-リポ酸(チオクト酸)

糖質からエネルギーを作る過程でα-リポ酸はビタミンB1と共に酵素の構成成分となって働く。体内で合成される。通常の食事で十分まかなえる。

c)アスタキサンチン

活性酸素を消去する抗酸化物質として。エビ、カニの甲羅、サケの身タイや鯉の表皮にある赤い色素。抗酸化作用、肝硬変の治療、2型糖尿病、眼精疲労、運動後の筋肉疲労にも効果

d)コリン

水溶性。細胞膜の主成分のリン脂質(フォスファチジルコリン)の材料となる。脳では神経伝達物質のアセチルコリンの材料になる。ヒトで欠乏症は確認されていない。体内で細胞膜を形成するレシチンやアセチルコリンの材料となる。血管へのコレステロール沈着を防ぐ。レバーや卵に多く含まれる。過剰症の心配はない

e)イノシトール(ミオイノシトール)

ミオは筋肉中を表し、筋肉中に多く含まれる。水溶性物質。体内合成可能、ほとんどまかなえる。神経細胞膜の含まれていて脳に栄養供給しやすくしている。脂肪の流れを良くし肝臓にたまらない働きがある。オレンジ、スイカなど果物、サツマイモ、トマト等に含まれる。

f)オロット酸

牛乳から分離された水溶性物質。生物の成長因子で人の体内で合成できる。脂肪肝や肝臓病で治療研究中。

g)カルニチン

水溶性。ある種の穀物害虫の発育に欠かせない。ビタミンCの働きでリジンから合成されることがわかった。利尿作用、血圧降下、胃分泌促進などの薬理作用がある。

h)p-アミノ安息香酸(PABA)

大腸菌などによる腸炎、膀胱炎、腎盂炎などの感染症治療に用いるサルファ剤はp-アミノ安息香酸に拮抗して働く。感染症の増殖を阻止する。PABAは大腸菌などの部生物の発育に不可欠な物質であることがわかった。葉酸から合成される。

i)フラボノイド(毛細血管浸透性因子)

レモンから分離。毛細血管の透過性を抑える作用がある。ルチン、ペスペリジン、エリオシトリン、ケルセチンなど一連のものがフラボノイドと呼ばれる。ビタミンCの吸収を助けたり酸化を防ぐ効果やビタミンCに協力して毛細血管を丈夫にする。植物の葉や花、ぶどうの赤色に広く含まれる天然色素で数千種類がある。ミントやセージ、ハーブ類に多く含有。みかんの皮(陳皮)、どくだみ、クズ(葛根)に多く含まれる。

j)ビタミンU

キャベツから分離されたアミノ酸の一種。胃酸の分泌を抑える薬理作用がある。

k)ピロロキノリンキノン(PQQ)

微生物がエネルギーを産生する際に働く、グルコース脱水素酵素などの補酵素となる物質。欠乏症が存在しない。高等生物には重要と言われている。

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